店舗営業における消防法関連届出について
1. 消防への届出は「営業許可」とは別物
店舗を開業する際には、保健所への営業許可や建築確認などと並んで、消防法に基づく届出・許可が必要になることがあります。しかし多くの事業者様は、「営業許可さえ取得すれば営業できる」と考えがちで、消防関連の手続きを見落としているケースが少なくありません。
2. 消防手続きが必要となる主なケース
・飲食店、美容所、物販店などで新たに営業を開始 ➡ 防火対象物使用開始届出書 (火災予防条例)
・店舗の内装工事(仕切り壁・照明・配線など)をする場合 ➡ 工事計画届(消防設備に関わる場合)(消防法第7条・消防法施行令第35条・その他条例)
・ガス、火気、厨房設備を設置する場合 ➡ 消防設備等設置届出書 (消防法第17条)
3. 消防届出を怠るとどうなるか
最もイケナイのは「そんな届出しなくても消防署にバレることはないだろう」と考えることです。消防は、消防法第4条に基づく「立入検査権」を有しており、予告なく建物に立入検査を実施できることになっています。
よって消防本部による立入検査で必ず発覚します!
・無届での使用が指摘され、是正に向けた行政指導や改善計画書の提出を求められる
・それを無視して営業を続けると営業停止等の行政処分に発展する可能性もある
・罰則(過料・刑事罰)対象になることもある
4. 行政書士に依頼しても不十分なことがある
行政書士に営業許可の手続きを依頼しても、消防法に基づく届出については、必要である場合にもかかわらず説明がなかったり、案内されないケースが少なくありません。こうした届出も含めて適切に説明し、対応を提案することが本来望まれる対応です。
行政書士が消防法に基づく届出を提案しないことについては以下のような理由が考えられます。
・当該行政書士がその許認可に付随して消防法関連の届出手続きが必要であることを知らない
・消防関係は専門外と考える行政書士が多い
・依頼を受けた業務以外はやらない行政書士が多い
・手続きが面倒なので敢えて触れない
5. 消防届出を怠らないために押さえるポイント
・開業前に管轄の消防本部に必ず事前相談をする(使用開始届が必要か確認)
・消防法上の「防火対象物」として該当するかチェックする
・防火管理者の選任や収容人員のカウントを早めに行う
・行政書士に委任する場合は「消防への届出について対応できるか?」を必ず確認する
・消防法上の「防火対象物」として該当するかチェックする
・防火管理者の選任や収容人員のカウントを早めに行う
・行政書士に委任する場合は「消防への届出について対応できるか?」を必ず確認する
まとめ:消防への届出は「命を守るルール」でもある
消防法関連の届出を巡っては、殆どの方が「そんな制度があることを知らなかった」あるいは「建物のオーナーや不動産管理会社から何も聞いていない」または「許認可を依頼した行政書士から何の説明も受けなかった」と主張されます。しかし、いかなる理由においても罰則対象になることを忘れてはいけません。
消防法に基づく手続きは、単なる書類作業ではなく、利用者や従業員の命を守るための基本的なルールです。開業を急ぐあまり届出を怠ってしまうと、後から大きなリスクや出費につながることもあります。
店舗営業は、その営業許可だけでは完結しません。必ず開業前に管轄の消防本部に相談して、営業開始までに消防法に係る必要な手続きをしっかりと済ませることが、後々のトラブルを防ぐ鍵です。
弊事務所では、各種許認可申請をご依頼いただいた際には、消防関係の手続きについても必ず必要性の有無を確認し、必要に応じて適切なご提案をさせていただいております。お客様の継続的な事業運営を支えるべく、あらゆる面から的確かつ丁寧な支援を行ってまいります。
「店舗営業を開始したものの、消防への必要な届出がまだ済んでいない…」「消防署の立入検査により、改善計画書の提出を求められた…」そんな事業者様はいらっしゃいませんか?
そうした対応にお困りの方は、どうぞお気軽に弊事務所までご相談ください。
そうした対応にお困りの方は、どうぞお気軽に弊事務所までご相談ください。
注意事項:消防法令に基づく各種手続における行政書士法違反の防止について
行政書士法において、行政書士又は行政書士法人でない者が、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類の作成を業として行うことは禁止されています。(他の法律に別段の定めがある場合等を除く。)
消防法令に基づく各種手続においても、行政書士又は行政書士法人でない者が防火対象物の関係者等に代わって提出書類の作成を行うことは、行政書士法違反に該当する可能性があります。(令和7年2月25日 総務省消防庁通知)
消防法令に基づく各種手続においても、行政書士又は行政書士法人でない者が防火対象物の関係者等に代わって提出書類の作成を行うことは、行政書士法違反に該当する可能性があります。(令和7年2月25日 総務省消防庁通知)